イメージ画像

年寄りの失踪はどこを探すか

数年前に、父方の祖父がくも膜下出血で倒れました。一時は生死の境をさまよいましたが、手術も成功しなんとか一命をとりとめました。しかし、その後遺症で記憶障害を患い、いわゆる認知症のような症状が出るようになってしまいました。

父方の実家は県外にあり、お正月やお盆などにしか帰省しないため、祖父と触れ合う機会がほとんどないのですが、一度だけ、私たち家族が滞在中にふらりと外出して見つからなくなってしまったことがあります。夕食を終え、居間でテレビを見ていると、叔母が「お父さん見てない?」と声をかけてきました。私はあまり祖父の居所に気を遣っていなかったため、度々廊下を行き来する祖父を見かけたものの、どこへ向かおうとしているのかまで把握していませんでした。その後、従姉妹や祖母に尋ねてみても祖父の居場所がはっきりとせず、外に出て辺りを探して回りました。祖父の靴は玄関に置かれたままだったので、家の中にいると思っていたのですが、靴を履かないまま、あるいは靴箱に仕舞ってある普段使わないものを履いて外に出た可能性もあったからです。

叔母、従姉妹、私の父と私で手分けして辺りを歩き回りました。外へ出かけるにしてもそう遠くへは行けないでしょうし、大体行くあても心当たりのある場所が数カ所あったので、そこを目安に探しました。私と従姉妹は近所の小学校の方に向かって歩いていたのですが、見つからず実家に戻っている道すがら、叔母から祖父を見つけたとの電話がかかってきました。なんでも、近所にあるお寺の前をうろうろとしていたようです。普段から人気もなく明かりもなかったため、一度向かったときには見つからなかったそうですが、他の場所を探したあと戻ってきたら祖父がいたそうです。

別の場所からそこに辿り着いたのか、叔母が最初着いたときにはたまたま暗がりやお寺の陰にいたのかは定かではありませんが、とにかく祖父が見つかったことにほっとしました。祖父に事情を聞いてもはっきりとした返答は聞けず、どうしてお寺にいたのかは定かではありません。勝手に推測するなら、認知症患者の方が思い出の場所に向かおうとするという話を聞いたことありますので、小さな頃に友達との遊び場として使っていたお寺に足が向いたのかもしれません。

このページの先頭へ